貿易実務を一から勉強

必要に迫られて、学習記録を残します。

関税と消費税

税関長に輸入申告して、許可を受けるためには関税と消費税の納付が必要です。

関税は関税法令により税関に収めますが、その時に輸入品にかかる消費税も「輸入品に対する内国消費税の徴収に関する法律(輸徴法)」により税関に納付します。

消費税は国税分と地方税分とありますが、まとめて払います。

 

関税の課税標準

 

貨物の課税標準に税率をかけて求められて、価格を課税標準とする品目を従価税品、数量・重量・容積等を課税標準とする品目を従量税品といいます。

従課税品の場合の課税標準CIF価格で、これは実際の取引契約内容がFOBやCFR等であった場合に、運賃や保険料を加えてCIF価格に換算し直すことになります。

貨物に適用される税率は、分類番号や輸出国によって決定されます。

関税率は、①課税価格10万円以下の少額貨物や携帯品、別送品以外の貨物の輸入に適用される一般税率②経済連携協定EPA:Economic Partnership Agreement)にもとずく税率があります。

また、一般税率は国内用により定められた国定税率と条約により定められた協定税率に分かれています。

国定税率はまた、基本税率、暫定税率、特恵税率に分かれます。

ややこしいですね。でも、ほとんどの国がWTO加盟国なので、協定税率だと考えていいでしょう。ただ、確かめることは忘れないように。

 

HSコード(実行関税率表)

 

税率を輸入統計品目番号ごとに一覧できるようにまとめたモノを実行関税率表といいます。「HSコードは何番ですか?」と聞かれたら、この表で分類された番号のことだと思ってください。

輸出統計品目表(2014年版) : 税関 Japan Customs

つねに最新版を参照にして下さい。

 

関税制度には、他にも特例申告など細かいことがありますが、それはおいおい勉強するとして、とりあえず関税に関してはここまで。

 

通関制度について

まずはややこしい輸入通関について大まかな流れをつかみましょう!
外国から到着した貨物は、税関の管理下にある特定の場所に搬入されます。輸入が留保されるので「保税地域」といいます。輸入者の申告手続きに従って、税関が荷物の検査や審査を行い、問題がなければ関税や消費税を納付されれば、許可が出され保税地域から搬出することができます。
「保税地域」
通常、輸入者に代わって手続きを行う通関業者(一般的に乙仲と呼ばれる海貨業者が兼務)などの所有する営業倉庫は、その一部が保税地域としての許可を受けています。また、商社は製造業者や問屋との貨物受け渡し場所の多くを保税地域にしています。
保税地域には次の5つの種類があります。
①指定保税地域-財務大臣の指定を受けた場所で公共施設のため1か月の蔵置しか認められない。
②保税蔵置場-外国貨物を保税状態で原則3カ月間、承認を受けると2年間まで蔵置できる。
③保税工場-輸入原材料を関税保留の状態で生産加工できる工場で、委託加工貿易などに利用される。民間の工場も、所轄税関長の許可を得て保税工場に指定されることができる。
④保税展示場-国際博覧会や見本市などのために、税関や消費税を留保されたまま展示できる場所。その催しの期間だけの保税地域。
⑤総合保税地域-上記②~④の保税地域の機能を総合的に持った地域。
「保税地域に入れない例外規定」
税関長の承認が受けられる場合には、保税地域に入れないでも申告できます。例外規定ですから、ほとんどありえないので割愛します。
「輸入申告」
輸入時に必要な書類は、輸出時に必要なインボイスとパッキングリストなどで、ここでは税額算出に必要な書類が一番重要です。また、食品や動物などは別途証明書などが必要になります。

航空貨物運賃の算出方法

基本的な考え方だけ押さえておこう!
①容積料金(Volume Charge)
貨物の容積に基づいて算出される輸送料金のこと。6000立方センチメートル=1キログラム、166立方インチ(in3)を1ポンド(lb)として、容積を重量に換算する。
②重量料金(Weight Charge)
貨物の重量に基づいて算出される輸送料金のこと。通常、重量段階ごとに、何種類かの運賃があり、重量が重くなるほど1kgあたりの運賃が安くなる。
③従価料金(Valuation Charge)
荷主が航空会社に対して申告した商品価格に応じて課せられる輸送料金のこと。申告が1kgあたり20ドルを超えると、その超過した部分に対して一定の比率で計算される。
④最低料金(Minimum Charge)
貨物の重量が少なく、賃率に重量を掛けて得た運賃が一定額に満たない場合、その一定額を最低料金とした運賃のこと。
①と②の関係は、実重量が容積を上回れば、実重量をもとに運賃を計算。容積が実重量を上回れば、容積をもとに計算する。
上記の他にも、品目によって賃率が違うこともあるが、煩雑になるので割愛する。

大切なのは負担が生じる時点

EXWは売主が、売主の敷地(指定倉庫)において、貨物を地面に置いたまま(積み込まないで)、その引取りを買主に委ねる。そこまでは売主の費用と危険負担において準備し、買主がトラック等の手配をして取りに行く。普通は売主が積み込みを行ってあげるのが通例だろうが、そこまでの責任は売主には無い。
EXW条件は国内取引向けであり、国際取引ではFCAを使った方がよい。

FCAは売主が、売主の敷地で貨物の輸送業者に引き渡す。その場合は買主が手配した運送業者の車に売主が積み込んだ時点で、危険負担が買主に移転する。
それ以外の場合(たとえば買主が指定した貨物ターミナルへ搬入する場合)は、売主が指定された貨物ターミナルへ運んだ時点で、危険負担が買主に移転する。
売主は輸出通関を行うが、運送の手配や保険の手配を行う義務はない。
買主が売主に運送手配を頼んだり、売主が運送手配を行う事が慣例となっている場合は売主は買主の費用と危険負担のもとに運送手配を行う。
FOBは在来船に用い、飛行機やコンテナ船の場合はFCAを使う。

CPTは危険負担の移転時点と、費用負担のカバー範囲が異なり、売主自ら手配した運送業者に貨物を引き渡した時点で、危険負担が買主に移転する。
売主は輸出通関も行い、目的地までの運送の手配、運賃の支払いを行う必要がある。
運賃は売主が支払うが、保険の手配の義務は無く、引渡し後の危険負担は買主が負うので、必要に応じて買主が保険を掛ける。仕向地での輸入通関は買主が行う。
CFRは在来船に用い、飛行機やコンテナ船の場合はCPTを使う。

CIPは危険負担の移転時点と、費用負担のカバー範囲が異なり、売主自ら手配した運送業者に貨物を引き渡した時点で、危険負担が買主に移転する。売主が輸出通関を行い保険を掛けているが、それは最低限の保険であるので、必要に応じて買主が追加で保険を掛ける。
CIFは在来船に用い、飛行機やコンテナ船の場合はCIPを用いる。

DATは埠頭、倉庫、コンテナヤード、貨物ターミナルなど屋根の有務に係らず、仕向地の「ターミナル」において、船やトラック等の輸送手段から売主が荷物を降ろして地面に置いて(つまり荷卸費用は売主負担)、買主の処分に委ねた時に危険負担が買主に移転する。
売主は輸出通関を行い、更に仕向地までの運送、保険の手配・支払いを行う。然し、仕向地での輸入通関の義務は無い。

DAPは売主が仕向地の指定場所において、車上渡しで(荷卸しをしないで)買主にその処分を委ねた時点で危険負担が買主に移転する。売主は輸出通関を行い、更に仕向地の引渡し場所までの運送・保険の手配・支払いを行う。然し、仕向地での輸入通関の義務は無い。
FOT(Free on Truck)やFOR(Free on Rail)がある。

DDPは売主が仕向地の指定場所において、車上渡しで(荷卸しをしないで)買主にその処分を委ねた時点で危険負担が買主に移転する。売主は輸出通関を行い、仕向けの引渡し場所までの運送・保険の手配・支払いを行う。更に売主は仕向地での輸入通関や輸入税の支払いを行う。
Door to Doorの様な形態であるが、実際にはFOTやFORで輸入通関と輸入税の支払いをする。
この取引は増えているが、現実的には非常に難しく、現地に会社(現地法人)が無いと困難である。

FASは埠頭や艀によって、買主が指定した本船に貨物を横付けした時点で危険負担が売主から買主に移転する。売主が輸出通関手続きを行う必要は有るが、船や保険の手配、輸入通関の義務は負わない。

FOBは売主が買主の指定した本船の甲板に貨物を置いた時点で危険負担が売主から買主い移転する。
売主は輸出通関手続きを行うが、船や保険の手配、輸入通関の義務は負わない。
貨物がコンテナに入っている場合は、ターミナルでの引き渡しが通常で有るからFCA条件によるべきである。

CFRは売主自ら手配した本船の甲板に貨物を置いた時点で危険負担が売主から買主に移転する。
売主は輸出通関手続きを行い、更に仕向地までの運送の手配、運賃の支払いを行う必要がある。
保険の手配及び仕向地での輸入通関の義務は無い。引渡し後の危険負担は買主が負うので、必要に応じて買主が保険を掛ける貨物がコンテナに入っている場合は、ターミナルでの引き渡しが通常で有るからCPT条件によるべきである。

CIFは売主自ら手配した本船の甲板に貨物を置いた時点で危険負担が売主から買主に移転する。売主が輸出通関、仕向地までの運送及び保険の手配・支払いを行う。仕向地での輸入通関の義務は無い。売主は保険を掛けているが、それは最低限の保険であるので、必要に応じて買主が追加で保険を掛ける。
貨物がコンテナに入っている場合は、ターミナルでの引き渡しが通常で有るからCPT条件によるべきである。

上記の条件で分かるように、EXWを除く条件は全て売主が輸出通関をしなければならないという事が理解できると思います。それ以外にEXWを除く条件においては、トラック等の手配も全て売り主が行うと判断した方が良いと思う。

インコタームズとは

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文化や習慣の違う国同士の商売ですから、ある程度取り決めが必要です。そこで国際商業会議所(ICC:International Chamber of Commerce)が解釈基準を定めました。それがインコタームズです。ただし、規則でも法律でもないので、必ず契約書に最新インコタームズに拠る旨の明記が必要になります。現在は2010年版になっています。
インコタームズで規定されているのは負担の範囲であって、所有権の移転については特に規定がないので、当事者が契約で定める必要があります。
インコタームズは、もともと在来船による海上輸送時代に誕生したもので、現在ではコンテナ船、航空輸送、複合輸送などの新しい輸送形態に適した条件が追加されています。

まずは大雑把に流れを把握しよう!

輸出入で大雑把に把握しておかなければならないのは、①お金の流れ②物の流れ③書類の流れです。難しいことは後回しにして、まずは最低限知っておくべきことを覚えましょう。
①お金の流れ
取引が長く続いていたり、よほどの信頼関係がない限り、個人や中小企業の決済は全部現金先払いが基本です。また、どうしても日本的な感覚で考えてしまいますが、サンプルは原則タダではありません。特に輸出の場合、サンプルを相手に軽々しく無料で送るとは言わない方がいいです。1万円のものを送るのに3万円の運賃がかかる場合がありますが、現実的にそれだけの経費が掛かっているので、先方にきっちり請求するようにしましょう。輸入の場合も、サンプルはタダだとは考えないで、最初から支払うつもりで考えた方がいいです。

さて、現金の決済は、通常は電信送金で行われます。インボイスのPayment Terms欄によく記載されている「T.T. Remittance」のことです。決済方法は電信送金という意味です。

相手側の地域にもよりますが、金額は、最近はユーロもありますが、普通は米ドルです。

ここで必要なのが為替レートに対する考え方です。見積を取る場合も作る場合も銀行手数料のことを覚えておかなければなりません。日本のメガバンクのHPには、リアルタイム為替レートが必ず載っています。「外貨⇒円貨」(TTB)「円貨⇒外貨」(TTS)でそれぞれレートが違うでしょう。大体、銀行はその日の午前中10時から11時を目途に為替レートを確定させます。(為替市場が大きく変動している場合は、午後にずれ込む時もあります)
輸出入にはこの顧客相場が適用されます。大体、インターバンク相場の±2円ですが、見積もり作成日の相場で考えてはいけません。必ず、リスクヘッジのために5円から10円は円高で計算するように癖をつけしましょう。

近年、グローバル化の発達により、世界各国でマネーロンダリング防止のために海外送金への監視が厳しくなっています。日本からの少額送金の場合、銀行の「外国送金依頼書兼告知書」に記入するだけで送金可能ですが、他国では売買契約書のコピーを添付しないと送金できないようです。物販の場合は実際にモノが輸入されたかまで監視されているようです。日本でも高額の場合は添付が必要でしょうね。また、逆に海外から入金があった場合は必ず銀行から何のお金か問合せが来ます。送金された金額が請求書通りか確認するためにも、契約書や請求書はいつでも見れる状態にしておいた方がいいです。

②モノの流れ
日本は島国ですから、必ず海か空でモノが運ばれます。輸送手段は大きく分けて3つに分かれます。ⅰ海上輸送ⅱ航空輸送ⅲ複合輸送(ⅰ、ⅱとトラック輸送の複合)です。詳しいことは上級編で。
通常は、運送業者(フォアダー)か船会社(キャリアー)に輸送を依頼します。大概は通関業務までやってもらえるので、通関を自分でやることはできますが、税関のそばに住んでない限りは費用対効果を考えるとそこまでやってもらった方がいいです。
輸出の場合、フォアダーあるいはキャリアー指定の倉庫にモノを送ります。あとはお任せでOKです。
輸入の場合、先方にフォアダーかキャリアーの指定倉庫を伝えてください。こちらも後はお任せでOKです。

③書類の流れ
貿易実務で一番重要なのがこの書類の流れです。書類がなければ、お金もモノも動きません。
絶対に欠かすことのできない書類はⅰインボイス船荷証券(B/L)あるいはAir Waybillです。これに通常はⅲパッキングリストが加わります。